意志の力で切り開いた留学への道:T君の場合

LAUから留学の子どもたち、少しずつダニーデンの生活に慣れてきている様子、東京から応援しています。とはいっても、やはり子ども。たくさん失敗しながら・・・英語がわからない状況の中、緊張しながら、心配かけるし・・・、そんなにすぐに帰りたいなんて言えないし・・・ってきっとすごく頑張っているんです!

さて、今回は私に「本当に感服!」といわしめた高校1年生のT君の持つ「意志の力」、その力で切り開いた留学への道をご紹介したいと思います。

ある日、現地の男子校のディレクターから「ちょっと頼みがある」と連絡がきました。「一人、日本の男の子から直接コンタクトがあって入学したいと言っているんだけれど、本当にご両親が理解しているか、彼自身どこまでわかっているかがわからないから、連絡を取ってくれないか」と頼まれました。私はさっそく連絡を取り、いろいろ事情を話してT君やT君のご両親と話をしました。それが11月末ごろでした。

さまざまな状況や事情を考え、大人たちは「無理だ」と結論付けました。
一番の理由は、Year12からIBプログラムでスタートすることを希望したT君、TOEFLやIELTSといった自分の英語力を証明するものをとっていなかったために学校側がYear12に入れるかどうかの判断ができず、今までのケースを例にとり無理だと判断したためでした。もちろんご両親の心配や状況もあり、両面から「難しいのでは?」と言われたのです。

・・・ところが、です。T君は絶対にあきらめませんでした。ここからT君の快進撃が始まります。

「なんとしても、絶対に留学したい」というT君の思いに呼応するように、学校のディレクターと私が話し合って、私が電話で英語のインタビューをすることになりました。実のところ・・・英語のスピーキング力はまだまだでした。が、T君が一生懸命話し、自分のことを伝えようする姿勢が私の心をつかみました。また、その内容からとても大事な、基礎学力がしっかりしていることがわかりました。

私はディレクターに、どれほどT君が留学への決意が固いか、これだけの情熱を持っていて基礎学力があるのだからもしかしたら・・・と報告しました。実際にインタビューを録音した音声を聞いて、翌朝学校から「Year12への受入れを認めます。ただし、英語力がないと相当厳しいだろうし、それだけの努力をすることが求められます」という返事がきました。自力で手にしたチャンスです。「ほとんど英語が話せなかったので、ダメだと思っていました」とT君は言っていましたが喜んでいるのが伝わってきました。

次の壁はご両親。T君と話すと「絶対に自分が説得します」ときっぱり。その言葉の通り、T君はご両親も説得しました。そして2年間の留学をつかみ取りました。

この話、みなさんがどのように受け取られるかわかりません。が、今まで私はこれほどの強い意志をもって自分の留学を手に入れた子はしりません。学校との難しさ、ご両親の決定を覆し、大人の心を動かしたT君。T君の夢は、卒業後世界でもTOPレベルの海外の大学に進学することです。

一番最初にディレクターから頼まれた日から約2週間後、すべてがきまり12月中旬に本格的に準備をスタートしました。通常はこんなに急な留学はありませんが、今回ばかりは特別でした。Year12でNCEAをとっていくには、1月からスタートしなければならなかったからです。

そして1月27日、学校がスタートしました。そこでまたすごいことが起こったのです!なんと、入学は許可されたけれどもさすがに無理となっていたIBへの入学が現地で認められたのです。もちろん、プレースメントテストやあらたな面談を経て、T君の実力が認められたという結果です。

私はもう応援するしかありません!本当にがんばってほしい!夢に向かって大きな一歩を踏み出した、T君の話でした。